STORY

1963年夏、浮浪者や夜の女たちが集うスラムに近代建築のアパートが建設され始める。
ガス水道完備の文化住宅にスラムの人間たちを住まわせるという市役所の計画だ。

スラムで出会った工員の〈賢治〉と深夜レストハウスのウェイトレスの〈弓子〉は 一日のうちに夕暮れのひとときしか逢うことができない。

ある日、アパートの建築現場で朝鮮人の作業員が足場から転落して死亡。
現場監督や市役所の人間たちはその死体をアパートの土台のコンクリートに埋め込んでしまう。
その現場を目撃した賢治は警察や人権擁護委員会に訴えかけるが誰も相手にしない。

死体が埋められた場所に賢治はチョークで太陽のマークを記し、弓子に約束の言葉をささやく。
「靑い種子は太陽のなかにある」──。
真実を明らかにすることに心を捕われる賢治と、幸せな結婚を夢見る弓子との溝が次第に深まっていく。
苦悩する賢治が選んだ道とは──。