「カリギュラ」タイトルロールに挑む小栗旬にインタビュー!

急成長する24歳・小栗旬が、
若き不条理の暴君カリギュラに挑む。

     

 03年の『ハムレット』に始まり、この4年間で5本、蜷川幸雄の演出作品に出演してきた小栗旬。その数と、この間の成長を考えれば、24歳で手にするタイトルロールも、決して早過ぎることはない。
「自分の役の名前がそのまま作品名なんて、芝居をやりながら生きていっても、きっとそう何度も経験できることじゃないと思います。単純にすごくうれしいです」

 だがその喜びを上回るハードルの高さも、痛感している。何しろ相手は、小説『異邦人』で知られる不条理文学の巨人カミュが書いた『カリギュラ』なのだ。
「脚本を読んで、最初は何が何だかわかりませんでした。おそらくカリギュラの中では1本通っているものがあるんでしょうけど、瞬間瞬間で感情がクルクル変わる。ひとつはっきりしているのは、この男を演じるなら“信号が赤だから止まろう”と思っていちゃダメだ、ということ。それくらい根本から、常識とかけ離れているんですよ」 

  恋人でもあった妹の死をきっかけに、世界に、人間に、神に絶望した若き皇帝カリギュラは、自分の哲学を証明するためにと、家臣や国民の多くの血を流す。
「人の上に立つ人間の苦しみという点では『コリオレイナス』(07年)の唐沢寿明さんを、狂気という意味では『あわれ彼女は娼婦』(06年)の三上博史さんを観ておいてよかったと、本当に思います。ある意味、『カリギュラ』は『あわれ──』の壮絶なラストシーンから始まる話と考えてもいいと思いますから」

 共演は、今回が蜷川作品初出演となる若村麻由美と、数々の舞台で活躍し注目を集める勝地涼と長谷川博己ら。
「どの舞台もそうなんですけど、共演者の方の空気って、稽古場に立って感じてみないとわからない。それは不安なことじゃなくて、僕にとって大きな楽しみです。相当難しい役で苦しむのはわかってるから、稽古が始まるのは怖いけど、これがちゃんと出来たら相当な自信になると思うので、皆さんに助けてもらいながら取り組みたいと思います」

 text:徳永京子(演劇ライター)
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