愛のヴィクトリアン・ジュエリー展 華麗なる英国のライフスタイル

2010年1月2日(土)−2月21日(日)

Bunkamura ザ・ミュージアム

展覧会紹介

第1章 アンティーク・ジュエリー

ヴィクトリア時代からの贈り物

大英帝国に君臨し繁栄をきわめたヴィクトリア女王は、信頼できる伴侶と九人の子供に恵まれ、「平和な家庭」の象徴として、またヨーロッパのファッションリーダーとして重要な役割を果たしました。ウェディングをはじめアフタヌーンティーやクリスマスなど、現代の私たちの生活をより豊かにしている様々な習慣はヴィクトリア時代に様式が確立したものが多く、現代の私たちの暮らしそのものの基礎が形作られた時代といっても過言ではないでしょう。

宝飾品の歴史

宝飾品は古代より呪術の対象であり身を飾ることにより護符としての役割を担ってきました。中世には、王の権威や精神的、宗教的な象徴として、そしてルネサンス期に初めて個人の美意識を反映するものとなりました。その後、バロック、ロココと華やかな宮廷文化の時代を経て1789年のフランス革命以後、宝飾文化の中心はフランスからイギリスへ移り、ヴィクトリア時代に女性を美しく見せる自己表現としての装身具の世界が華開いたのです。英国文化は貴族文化といっても過言ではなく、18世紀までは莫大な富をもった貴族が時代を担い、宝飾品も特権階級だけのものでした。しかし19世紀に入り産業革命により台頭してきた資本家層の需要の増加に伴い、ヴィクトリア時代にはそれまでにないほどの質と量の装身具が作られるようになったのです。産業革命は著しい技術の発達と、宝石貴金属の発見、さらには世界各地での古代遺跡の発掘をもたらし、装身具の世界にも多大な影響を与えました。

ヴィクトリアン・ジュエリーの魅力

1837年、ヴィクトリア女王の即位に合わせるように平和と繁栄によってもたらされた富は、装身具の中でも金の宝飾品に代表されるようになり、ゴールド・ジュエリーがヴィクトリアン・ジュエリーの主役となりました。金が希少であったジョージアン時代に生み出されたカラーゴールドをはじめ、カンティーユ細工やレポゼ細工などの優れた技術を駆使して素晴らしい宝飾品が作られたのです。デザインモチーフは自然界の様々なものと、考古学的発見の影響を受けたものが主流となっています。
一方グランドツアーの影響でヨーロッパ各地のジュエリーがイギリスに持ち込まれ、イタリアのカメオやモザイク、スイスやフランスのエナメルが人気となりました。これらは鉄道網の発達により裕福な人々の旅行が盛んになるにつれ、流行に拍車がかかりました。そして、ヴィクトリア時代の装身具の特長を最もよく表したものに、あまり高価ではない素材を用い、当時の職人の技によって仕上げられた装身具があります。イタリアに次ぐ人気の観光地スコットランドで、タータンチェックに合わせて作られたスコティッシュ、べっ甲に金銀を象眼したピクウェ、古代より魔除けとして身に着けられたジェット、繊細な細工を施したアイボリーなどです。 また18世紀、ダイヤモンドが宝石としての地位を確立したことにより、代用品として宝石と同じように細工されたマルカジットやカットスティールなど、さらに異国趣味を反映した虎の爪や、珍しい素材への好奇心から昆虫や蝶の羽などのジュエリーも登場しました。こういった素材や技法のバリエーションの豊富さもヴィクトリアン・ジュエリーの魅力といえます。

もう一つ忘れてはならないものに、人々の個人的な愛情や思い出を表現したセンチメンタル・ジュエリーといわれる世界があります。中でもメッセージ・ジュエリーは宝石の頭文字のアルファベットを並べるなどして、デザインやモチーフ、花言葉に込められた意味を通して個人的な想いを伝えるもので、様々な素材で作られ流行しました。
ヴィクトリア女王は、イギリス国内はもちろんのことヨーロッパ中の人々の憧れの的であり、女王が愛した宝石やデザインが流行を作り、それがまたヴィクトリアン・ジュエリーの特徴となっているのです。
本展ではヴィクトリア女王の直筆の手紙が添えられたロイヤルギフトをはじめ、英国王室にまつわる宝飾品約30点とジョン・シェルダンなどの著名なコレクション、及びヴィクトリア時代を代表する作品を一堂に展示いたします。この時代に考案された技法やデザイン、身につけ方などが、現代の装身具の基礎となっていることに驚かされることでしょう。


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