海老沢:今回のギャザリング企画のために、(棟方志功展を)すでに何度かご覧いただいたようですが、いかがでしたか?
坂東:実は今日でもう4回目なんですけど、この前見たときに、ふと「これは絶対ゴッホじゃなくてピカソだ」と思ったの。彼はゴッホになりたかったのかもしれないけれど、ピカソだなーって。だって生きる喜びというか力がみなぎっているじゃない。それはきっと人間誰もが持っているものだし、求めているものだと思う。ひょっとしたら、上手にいいもの作ろうなんていう気持ちは無かったんじゃないかしら、この人。
宮澤:彼の言う“ゴッホ”の意味するところは、イコール「油絵」であったり「西洋美術」であったりするわけで、確かにもっと大きな存在を感じさせる作品ですよね。ただ、一見素朴な感じを受けますけど、芸術家としての野心みたいなものは結構あったみたいですよ(笑)。どちらかというと一般的な棟方志功のイメージというのは、即興的にすごいスピードで板を彫る人、みたいな感じなんだけれど、今回の展覧会では、実際は結構下絵なんかも作っていて、緻密に計算されていたんだよ、っていうことも見せているんです。志功はテレビなんかにもよく出ていて、東北弁でそのまま喋ったりしていますが、そういうのも彼特有のサービス精神によるものじゃないかという気がするんですよね。
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