鷲尾:実際にミレーの絵をご覧になって、辻さんはどんなことをお感じになりましたか。
辻:この時代の画家って、ある程度の階級の男性です。でもミレーは田舎に住み込んでしまう。そしてそこで絵を描くことにものすごいエネルギー注ぎ込むわけですね。そういうことが成り立っているところに、なにか異様なものを感じますね。
宮澤:きっと彼は農村を本当に好きだったのだと思いますよ。産業革命以降、急速に産業化が進む中で労働環境も厳しい状況になるわけです。そういう中で、失われていくものを残しておきたいという気持ちがあったのではないかと思います。自分にとっての原風景みたいのものを描きとめておきたいという。他の画家に比べるとミレーはとても自然体なんです。自分自身が生まれ育った環境を心から美しいと思っていたのではないでしょうか。だから変に説明的なところも無いし、本能で描いているようなところがある。。
鷲尾:写実主義って言われているようですが、僕はミレーの絵というのは、逆に写実から遠いなと思いました。見たものをそのまま描くというよりは、自分の思いのところで描いている、という感じ。まあ、写実って何ってことなのかもしれないけれど。
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