ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまでベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

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2017.08.17 UP

【フォトスポット連載⑤】ミュージシャン / サエキけんぞうさん



大好評フォトスポット連載、今回はミュージシャンでアーティストの、サエキけんぞうさん♪急激にベルギーが気になっているというサエキさん。
本展図録に記載されている宮澤学芸員の解説も熟読してくださったそうです。

サエキさんより、展覧会のご感想を頂戴しました!

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 ベルギーという絶妙な風土に入門し、なぜ異形な芸術家たちが育ったか?系統的に学ぶことができる、大変アカデミックな展覧会です。ロックファンにとっては、テクノのテレックス、YMOプロデュースのミカドを輩出したクレプスキュール・レーベルと、ニューウェイヴ音楽でおなじみの国です。

 ルネサンスの同期、16世紀頃から現代の作品まで展示されています。例えば今回のテーマとして使用されているボスの幻想的な絵は、現代風のシュール絵的解釈によって見るべきではない?というスリリングな指摘にまず注目です。自然な中世的環境から生まれた絵だというのです。宗教と歴史観に無知な日本人の解釈を超えた、中世ヨーロッパの感覚をまずは学びたいです。そしておなじみマグリットにいたるまで、有名なベルギー画家達の奇想は、フランス、イタリアの画家達とはひと味違う。それは他から侵略を繰り返されてきた風土も原因していると。そんな発想そのものが日本人にはないでしょう?ヨーロッパを学ぶ良い機会になります。

 頭のデッカイ男が、頭部をもてあましてグッチャリと地面に落としているヤバい彫刻《生き残るには脳が足らない》、トマス・ルルイ《無限》(2006年)など、最初っから最後までヤバい作品の嵐です。なぜそんな人達が生まれたのか?最後には何となくわかります。ホントの最後には、美術について「猫にインタビュー」している音声(本気)で終わります。本物の「ヘン」です。ベルギーはオカシな愛らしい国です。水木しげるファンなら絶対気に入る展覧会です。子供にはヘンなこうしたヘンな大人達を見せた方が健全に育つでしょう。

サエキけんぞう
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★サエキけんぞうさん公式HPはこちら
http://saekingdom.com/