スタッフダイアリー

オープン!ヴィレッジ、スタート

ようこそ、Bunkamuraへ!×シブヤ大学のコラボレーション企画『オープン!ヴィレッジ』がスタートしました。『オープン!ヴィレッジ』はBunkamuraがプロデュースしている6つの施設を軸に、様々なジャンルの文化・芸術の楽しさを、シブヤ大学の協力のもとに紹介していく全6回の授業。

『オープン!ヴィレッジ』に関わるスタッフは“村人”と呼ばれているのですが、私も村人の一人として、授業レポートを担当させていただくこととなりました。
4月25日(金)に1限目として開催されたのは、渋谷駅近くにあるセルリアンタワー能楽堂を教室にした『はじめての能楽堂~序破急とグルーヴ感~』(もちろんザ・ミュージアムの授業もありますのでお楽しみに)。
 

  
                                                                          <写真提供:古川裕也>

早速授業レポートがアップされましたので、ぜひご覧ください!!!

【公式授業レポート】→http://www.bunkamura.co.jp/openvillage2014/index.html
               (右メニューの「授業レポート」からご覧いただけます)

と、ここで、はみ出しレポートを少し。 

最初から最後まで、能の魅力をたっぷりと感じられる授業でしたが、個人的に特に心に残ったことがありました。能楽師がいかにストイックに自分自身を追い込んで舞台に上がっているか、ということがテーマの流れの中で、小鼓方幸流の成田達志さんが紹介してくださったエピソードです。

ある母親が亡くした子供の亡霊と出会い、一時、ひさしぶりに子供との時間を過ごすものの、最後はまたその亡霊も消えて母親が一人残される「隅田川」という演目についてのお話。最後のシーンで、母親が悲しみに打ちひしがれるのですが、能では他の芸能と違い、非常に微妙な所作で表現されるそうなんです。大声をあげて泣き崩れる、ということは無く、ただ両目を覆うように片手をあげて、その手をほんの数センチだけ顔に近づける、たったこれだけ。しかしながら、能楽師が全身全霊を込めたこの微妙な所作からは、母親の果てしなく深い悲しみが伝わってくると。

 

お話になられている時間はほんの数分でしたが、私は、成田先生がこのエピソードを熱く語られている様子を見ているだけで、胸がグッと熱くなり、息が詰まる思いでした。そして、「ああ、これが能の魅力なんだ」と思いました。
何事も“わかりやすさ”が求められ、あらゆるものが“可視化”される時代には、こういう表現はひょっとしたらある種の”わかりにくさ”として映るかもしれません。でもそれは無駄を一切そぎ落とした表現であり、だからこそ観る側の心にまっすぐ、深く突き刺さるのだと。

 

もちろん、このエピソードも、簡略化してお話しいただいたと思うので、実際に観ると違う部分もあるかもしれませんし、能の魅力はそれだけではありません。演目もハッピーエンドのお話も多くあります。でも、あの瞬間のあの空気感がずっと心に残っています。序破急をベースに生み出される緩急、そしてそこから生まれる感情のグルーヴ、ぜひ多くの人に感じていただきたいです。

 

セルリアンタワー能楽堂のホームページには、公演スケジュールとともに能&狂言のミニ辞典などの楽しいコンテンツもありますので、ぜひ一度ご覧ください。

・セルリアンタワー能楽堂公式サイト:http://www.ceruleantower.com/nohtheater.html


こちらは司会を務められた能楽堂スタッフの喜多村さん(左)と、全体の進行を務められたシブヤ大学の授業コーディネーターの“オヤビン”こと佐藤さん。授業終了後のツーショットを撮らせていただきました。無事終わってホッとした笑顔。お疲れ様でした~。

以 上