2015年のBunkamura Gallery初個展以来、二回目となる阿部幸洋展。
前回はサイズ感のある油彩を中心に、会場に一歩足を踏み入れたとたんスペインはラ・マンチャ地方へと私たちをトリップさせてくれました。今展では、阿部が油彩と平行しながら制作を続ける版画から、画家の「もう一つの顔」をお見せします。
オリーブと葡萄畑に囲まれたラ・マンチャ地方トメージョソ。乾燥した大地と強烈な太陽のもと、光をテーマに心象風景や静物を描く阿部は、「黒の濃淡」と「情緒」への強いこだわりから、版画づくりの全工程を一貫して自身が行っています。銅版画特有の細やかな線で表わされた、素朴で普遍性を持つモチーフたちは、強烈な陰影とともにその場の空気までをも感じさる存在へと昇華しています。
本展では、そんな画家の油彩とは異なる魅力を放つ版画作品群を、銅版画を中心に木版、リトグラフ、カーボランダムなど多様な版画の技法でご紹介いたします。一点物であるモノタイプや手彩を施した作品も販売予定ですので、この機会をお見逃しなく!
阿部幸洋最新の「版のしごと」を存分にご堪能ください。