浮遊感のある不思議な空間に存在する人物を描く夭折の画家・有元利夫。現代社会に生きる人間を独特な表現で創る彫刻家・舟越桂。二人に見られる共通点は、人間の姿を通じてそれをはるかに超えた美しさと雄大さを併せ持つ森羅万象を表現したことです。
ポンペイやフィレンツェなどイタリア各地の遺跡を巡り歩き、カタコンベの壁画などに影響をうけた有元は、フレスコ画と日本の仏画に共通点を見出し岩絵具で描くことを決意。バロックなど古典音楽を愛し自らもリコーダーを奏でたことから、音楽をテーマとした作品を多く描きました。感情を超えた静謐で幻想的な画面に現れる人物からは不思議なオーラとあたたかみが溢れ、観る者の想像力を大いに掻き立ててくれます。
楠の身体と大理石の瞳から成る舟越の作品は、どこか遠くを見つめています。そしてその作品の一つ一つが、人間が胸の内に抱える喜びや悲しみ、不安などの精神性を秘めており、神秘的な存在感を放ちます。近年では、性別や肉体を超越した両性具有のスフィンクスを手掛けており、彫刻、版画、ドローイングといったあらゆる技法を用いながらより壮大な世界を構築し続けています。
本展では、有元利夫・舟越桂の透明で静寂感のある版画作品約60点を展覧販売します。長き時間と風雪に耐えて存在している力強さとその風化した美を追求した作品は、色褪せることなく私たちの心に語りかけてくるでしょう。
有元利夫
机の手品
1982年 銅版画 19.2×12.1 cm

























