唐版 風の又三郎

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見どころ

代々木月光町に流れ着き出会った二人の男女
唐 十郎の描くロマンあふれる神話的恋愛劇


アングラ演劇の雄・唐 十郎の戯曲『唐版 風の又三郎』は、1974年に唐率いる劇団状況劇場が初演。現代劇の公演をテントで行うという新たな発想で60年代から演劇界にニューウェーブを起こしていた唐による、宮沢賢治の童話『風の又三郎』をモチーフにしながら想像の翼を奔放に広げた世界がスペクタクルに展開するこの舞台は、当時観客の圧倒的な熱狂の元に迎えられた。

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『パレスチナの風の又三郎』として、レバノンとシリアにてアラビア語上演したことも話題となった。あれから45年の時を超え、来る2019年にこの戯曲の上演が決定した。時代と共に人々を取り巻く環境も大きな変化を見せ、“熱狂”という言葉とは距離を置いたような、どこかシニカルな空気が支配する現代社会において、依然変わらぬ人間の根源に脈々と流れる血の温かさを、時代の最先端を駆け抜けた唐の作品は我々に投げかけてくれることだろう。
演出に挑むのは、2016年8月にシアターコクーンで上演した唐戯曲の『ビニールの城』で蜷川幸雄の遺志を継ぎ演出を担当した金 守珍。唐 十郎と蜷川幸雄から薫陶を受け、自身の劇団・新宿梁山泊でアングラ演劇を追及し続けている金がこの戯曲の魂をどのように演出するのか注目したい。
豪華キャストにも注目だ。2013年『唐版 滝の白糸』で蜷川演出の下、唐作品に参加した窪田正孝と、元宝塚歌劇団星組トップスターの柚希礼音がダブル主演。6年ぶりとなる舞台出演で再び唐作品に挑む窪田と、アングラ演劇初挑戦の柚希の共演が生み出す、美しく繊細なドラマに期待が高まる。さらに、舞台・映像と幅広く活躍を見せる北村有起哉、丸山智己、江口のりこ、舞台経験豊富ながらも唐作品初参加となる風間杜夫、山崎銀之丞、蜷川作品には欠かせない存在であった石井愃一、そして状況劇場を経て新宿梁山泊の旗揚げに参加した六平直政と錚々たるメンバーが名を連ねる。演劇界伝説の舞台が現代に新たに蘇る瞬間を、シアターコクーンで目撃しよう。

物語

東京の下町で二人の男女が出会う。精神病院から逃げてきた青年「織部」と宇都宮から流れてきたホステスの「エリカ」。

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二人はこの物語の中では恋人同士ですらなく、ただ、『風の又三郎』のイメージを介して結びつくもろい関係。
汚濁した世間で生きていくことができずに病院に収容され、それでも、自分を連れ去る風の少年に憧れる織部は、その面影をエリカの中に見い出す。エリカは自衛隊の練習機を乗り逃げした恋人を探す道連れとして、この純真な青年を利用する。探し当てた恋人はすでにこの世の人ではなく・・・・。
ガラスのような精神を抱え、傷つきながらもひたすらに、自らの「風」である女を守ろうとする青年と、いまわしい血の記憶に翻弄される女との、恋よりも切ないものがたり。

作・演出

キャスト