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作者:テネシー・ウィリアムズ / Tennessee Williams
(劇作家、1911年-1983年)

米国南部の小都市、ミシシッピ州コロンバス生まれ。
ウィリアムズ家の先祖はテネシー州の名門だったが、父の祖父の代に没落。靴のセールスマンの父は不在がちで、小さなウィリアムズは牧師館住まいの母方の祖父母を慕い、母、姉ローズ、弟デイキン、黒人の子守り女オジーに囲まれて平和な幼児期を送る。
その後、父の昇進に伴い一家は中西部の大都市セントルイスに移転。両親の不和、暴力的な父との暮らしなど、後年ウィリアムズが"悲劇的な移住"と呼ぶ時代が始まる。

ハイスクール時代に詩や短編小説の執筆をはじめ、大学を転々とするうちに演劇に目覚める。この頃、精神異常の状態が悪化してきた姉ローズが前頭葉切開手術(ロボトミー)を受け廃人同様となる。この、姉の一生を左右した時に居合わせなかった悔恨の思いは、ウィリアムズの作品に大きな影響を与える。
演劇の道を志し幾つかの戯曲が上演されるものの、映画館の案内人や給仕などをしながらの修業時代が続く。

1944年にシカゴで初演された『ガラスの動物園』が好評を博し、翌年、34歳の時、ようやく同作でブロードウェイデビュー。NY劇評家賞ほか多くの賞を受賞した。

その後、ピュリッツァー賞を受賞した『欲望という名の電車』(1947)や 『やけたトタン屋根の上の猫』(1955)、『夏と煙』(1948)、『バラの刺青』(1951)、『青春の美しい小鳥』(1959)、『適応期間』(1960)、『イグアナの夜』(1961)、『牛乳列車はもう止まらない』(1962)など、充実した創作の時代を過ごす。その作品群は、『財産没収』などの一幕もの、『ストーン夫人のローマの春』などの小説、『ベビー・ドール』などの映画脚本、手記『回想録』など、多岐にわたっている。

40年代後半から50年代、アメリカ演劇界の寵児として駆け抜けたウィリアムズだったが、60年代に入ると、長年の同性愛のパートナーであった秘書フランク・マーローの死をはじめとする私生活での不幸も重なり、アルコールや睡眠薬の過剰摂取など、スランプに陥る。
しかし晩年まで創作活動は続き、改訂を繰り返し続けた『二人だけの劇』(のちに『叫び』と改題)や、ロングランとなった『小舟注意報』(1972)など、最期まで歩みを止めることはなかった。

『地獄のオルフェウス』(1957)は、プロの劇作家としてのデビュー作『天使のたたかい』(1940)の改訂版。愛妻を黄泉の国に連れ戻しに行ったというギリシア神話の英雄オルフェウスの話を下敷きにした、暴力的で甘美、ウィリアムズらしい南部ドラマで、のちに作者自身の脚本で映画化(1960/『蛇皮の服を着た男』)もされた。

演出家:フィリップ・ブリーン / Phillip Breen

フィリップ・ブリーンはいまロンドンで最も注目を集める若手演出家。リバプールに生まれ、学生時代から多くの学生演劇の演出を手掛けてきた。ブレヒト作品でプロ演出家デビューした後は、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)やチチェスター・フェスティバル・シアターなどでキャリアを積み上げ、2012年にはその古巣RSCで演出した『ウィンザーの陽気な女房たち』でその名をとどろかせた。

2014年の『TRUE WEST』や、今も公演が続く『The Shoemaker's Holiday』も高い評価で受け入れられている。2005年にグレゴリー・ドーラン演出の『真夏の夜の夢』の演出補として来日済み。テネシー・ウィリアムズ作品の演出は、数年前に『去年の夏 突然に』を手掛けており、それ以来「ウィリアムズの他の作品の演出をしてみたくてうずうずしていた」という。

PROFILE

リバプール出身。ケンブリッジのトリニティカレッジにて社会政治学を学びながら、数多くの学生演劇を演出。2001 年には、エジンバラフリンジフェスティバルにて、The Perrier Comedy Award にノミネート。その後、はオリヴィエ最優秀監督賞受賞の巨匠テリー・ハンズに師事。

フィリップの演出家としてのプロデビューは、グラスゴー・シチズンズシアターにてブレヒトの『アルトロ・ウィの抑え得た興隆』。その後、ロイヤルオペラ、ロイヤルシェイクスピアカンパニー(RSC)、チチェスターフェスティバルシアターにてアシスタントディレクターを務め、スティーブン・ピムロット、マーティン・ダンカン、ナンシー・メックラー、そしてグレゴリー・ドーランといった演出家の元で確かな実績を踏み、彼らの信頼を勝ち得てきた。

独立してからの30本以上に及ぶ自身の演出作品は、Fringe Firsts, Critics Association Awards for Theatre in Scotland, Time Out New York "Best of" Awards, Off Broadway Stonys, Stage Awards and The Holden StreetTheatre Award など様々な演劇賞を受賞もしくはノミネート。新作から、古典戯曲、ミュージカル、ジャズキャバレー、コメディまで幅広い分野の作品を演出。

また、アシスタントディレクター時代も含め、ウエストエンド、オフブロードウェイ、東京、シドニー、メルボルン、ドバイ、LA など世界各地での上演を経験。古巣RSC での演出家デビューは、2012年(〜2013 年)の『ウィンザーの陽気な女房たち』で、劇評家達をうならせ、大好評を博した。

そして、2014年ロンドン・Tricycle Theatre で上演の『TRUE WEST』も劇評各紙が四つ星評価を出し、一躍その名を広める。(2013年グラスゴー・Citizens Theatre で上演した作品のリバイバル)。

また、2014年12月11日開幕したばかりのRSC『The Shoemaker's Holiday』も、各紙が絶賛し、今注目を集めている。RSC でキャリアを積んできた演出家で、グレゴリー・ドーラン演出の『真夏の夜の夢』(2005 年・東京芸術劇場)にて、演出補として日本ツアーに帯同しているので、来日経験あり。