2015.04.06 UP

公演初日レポート到着&舞台写真公開!

この春いちばんの衝撃作『禁断の裸体』が開幕いたしました!公演初日に行われたプレスコールと公演初日のレポートが届きました。ブラジルの熱い風をぜひ体感ください!

  「人間なんてこんなもの」とでも言いたげな、シニカルな大人の芝居として、『禁断の裸体』がついに初日を迎えた。“ブラジルのテネシー・ウィリアムズ”と称されるネルソン・ロドリゲスの戯曲が本邦初登場となる今回の公演。なるほど、その筆は人間の愚かしさを容赦なくあぶりだす。そんな戯曲を、三浦大輔がジェットコースターのようなエンターテインメントとして立ち上げた。

  物語の主軸になるのは、妻を亡くしたエルクラーノ(内野聖陽)。一緒に暮らす息子のセルジーニョ(野村周平)と3人の独身のおばたち(木野花、池谷のぶえ、宍戸美和公)は狂信的なクリスチャンで、異常な禁欲生活をエルクラーノに強いている。そんなある日、弟のパトリーシオ(池内博之)に紹介された娼婦ジェニー(寺島しのぶ)との愛欲に溺れていくエルクラーノだったが……。

 「まさか」の展開が畳み掛けられる先が読めない物語は、<共感>なんて甘っちょろいファンタジーがつけ入る隙もない。しかし内野演じるエルクラーノは、情けなさが徐々にチャームに見えてくる、愛すべき魅力を放つ。寺島はあっぱれな体当たりで娼婦ジェニーを演じ、時に聖母のような慈愛がにじむ、不思議な奥行きを役に与えていた。悪役に色気と影がひそむ池内、エキセントリックな青年を堂々と演じる野村、コメディーパートを絶妙に担う木野、池谷、宍戸など巧い役者がそろい、振り切った過激ぶりを生き生きと演じる。小劇場ファンは、米村亮太朗、古澤裕介、榊原毅が随所で濃い役を見せてくれるのも楽しみたい。濃厚なラブシーンや赤裸々な描写にとまどう向きもおられようが、エロティックな色気を楽しむ艶笑噺のような<きわどい笑い>は、なかなか出合えない感触だ。セックスでのちょっと間抜けな瞬間など、お子様には分かるまじ。そんな瞬間にニヤリとしつつ、観客が作家・演出家・役者と<共犯関係>を結べたら、その粋を楽しめるだろう。

 初日に行われたフォトコールでは演出家とキャストが登壇。「(上半身裸のキャストが並んだ)このチラシビジュアルで宣伝したので、そういうスケベ心には充分応えられるものになっている。それだけを目的にきた人でも(笑)、翻訳戯曲を敬遠している方にも、普段は舞台を観たことがない方でも楽しんでもらえる珍しい芝居になっているはずです」(三浦)、「三浦さんの描く過激や裸は、人間をえぐればえぐるほど、そこを表現せざるをえないという必然性を感じます。<こんなにシンプルなものはない>と感じていただける舞台になっていると思う。セックスに対してキワドイとかえげつないと思う人も警戒しないでカラッと観ていただきたい」(内野)、「(三浦演出は)女優をぼこぼこにすると聞いていましたが(笑)、実際はすごく楽しいセッションでした。この役をやったら、次はどうしよというぐらいの挑戦をしていますし、ものすごいジェニーという役が好き。これは誰にもできないだろうという気持ちで日々やっていますので、パッションを感じていただきたい」(寺島)、「堕落した役をやるので、体重も増やしました。笑いもあってすごく楽しめる舞台だと思う」(池内)、「難しくみる芝居ではないし、カップルで観ていただいたら刺激的だと思う。……でもお子さんを連れてくる場合はお気をつけください(笑)」(野村)と、それぞれが舞台の魅力を語った。

文/川添史子  撮影/細野晋司