この家族。
作・演出・美術:串田和美
2014年5月3日(土)~5月25日(日) Bunkamuraシアターコクーン
かつては炭鉱町として賑わっていた地方都市。今は見る影もなく人々はどこか諦念に呑み込まれ、町の空気は淀む一方。
小規模な暴力団一家の菊池家は、怖いものなし、肩で風をきっていた一家だったが、時代は変わり電話代の支払いもままならない状況に陥っている。それでも意固地に任侠道を誇示する家長の国男を嘲笑するのは、闇金業を営む隣家のシングルマザー・大場節子だった。経済的な切迫か、それとも積年の恨みか…。突如として母親・マリが持ちかけた無謀ともいえる計画に、国男、そして長男・直也と次男・稔も巻き込まれて一家総出の大暴走が始まる。
積み上げられる隣人の死体。見つからない二千万円。
全てが終わり、取り調べを受ける国男の前に現れたのは、炭鉱夫として働いていた若き日の自分自身。過去の自分と会話をするかのように蘇ってくるのは、国男とマリの出会いから始まる菊池家の歴史、そして刹那的なエネルギーが充満していたかつてのこの町の姿であった。