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Bunkamura25周年記念 皆既食 –Total Eclipse- また見つかった、-何が、-永遠が、海と溶け合う太陽が。

作:クリストファー・ハンプトン 翻訳:小田島恒志 演出:蜷川幸雄

2014年11月7日(金)~29日(土)Bunkamuraシアターコクーン

『皆既食』稽古始動!

10月上旬、『皆既食』の稽古がいよいよスタートしました!

「激しく舞台を駆け回るようなタイプとは違うけれど、過激ないい舞台にしたい」と蜷川が話し、翌日にはさっそく立ち稽古へ。稽古用の衣裳、小道具が一通り揃っているのは“蜷川組スタンダード”。舞台上にところ狭しと置かれた家具をどう配置していくか、その場で動かしながら蜷川が判断していきます。とはいえ、それもあくまで暫定的なもの。稽古が進むうちに変更、変更が繰り返されていくのは、キャスト・スタッフすべてのパートに共通しているのです。 何と言っても注目はそのキャスト陣。フランスのブルジョワ家庭に突如現れたアルチュール・ランボー役の岡田将生が、初舞台とは思えないほどナチュラルに、小悪魔的なまでの“美しき天才詩人”を体現して見せ、早くも演出家を刺激します。対するポール・ヴェルレーヌの生瀬勝久は、若く美しい妻マチルドがいながら否応なくランボーに惹かれていく詩人の矛盾に満ちた人間くささを、さすがの緩急自在ぶりで鮮やかに演じていきます。刻々とパワーバランスが変化していく二人の緊密なセリフの応酬は、この芝居の大きな見どころとなりそうです。芸術家同士の物語ではありつつも、小難しい芸術論をたたかわせるのではなく、むき出しの人間と人間がぶつかり合い、身を焼かれるような切実さで互いを求め合っていく──。そんな彼らの渇望が観る者をひりひりと突き刺す舞台となりそうな予感大。さらに白熱する稽古を経て、一体どこまで深化していくのか。ご期待ください。

 撮影:江森康之