傑作音楽劇、奇跡のカムバック。
作・演出・美術:串田和美
2014年2月8日(土)~3月2日(日) Bunkamuraシアターコクーン
7月22日と23日の二日間、串田和美さんが芸術監督をつとめる松本のまつもと市民芸術館の稽古場で、早くも初の音楽稽古が行われた。
「みなさんミュージシャンではないし、お忙しい方ばかりなので、前倒しでやっておいて、ちょっとでも時間が出来た時に練習しておいていただこうと思って」「芝居のリハーサルが始まる頃には、音楽的な準備はある程度整っていないといけないので、逆算して今から毎月やることにしたんです」
と語る音楽監督・編曲を担当するダージリンの2人(佐橋佳幸・Dr.KyOn)の方針の下に集まったのは、『フラッパー』初参加の松たか子、石丸幹二、大東駿介らと、'91年以前の公演にも出演していた元オンシアター自由劇場組にプロのミュージシャンを加えた計16人。「せっかく揃ったので」と、いきなりフィナーレで演奏されるタイトル曲『もっと泣いてよフラッパー』からスタート。まず松さんの澄んだ声がリハーサル室に響き渡り、続いてクラリネット、サックス、トランペット、トロンボーンなど、個性溢れる管楽器の演奏が続いて、一気に盛り上がった。
「みんなでやると楽しいよねー」
1曲終えたところで、佐橋さんがニコニコしながら言うと、
「ぜんぜん楽しくなーい」
と、ひとりつぶやく大東さん。今回初めてチューバという大型の金管楽器を演奏することになり、5回の特訓を経て今日の日に臨んだ大東さんには、まだ微笑む余裕など、微塵もないのだ。でもこの悲愴なリアクションに、一同は大受けしてる。自由劇場出身のメンバーは、みな突然できない楽器を持たされ、四苦八苦して舞台に立った経験を持つ人ばかり。きっとかつての自分を見るような思いなのだろう。
ほんわかした雰囲気のなか、約3時間にわたる第一回目の全体音楽稽古は終了。これからも月1回のペースで集まり、フラッパー&ジャズメンたちはメキメキと腕を上げてゆくはずだ。
取材:伊達なつめ 撮影:明緒